センター長挨拶

2015年4月1日でナノチューブ実用化研究センターのセンター長職を拝命しました。産総研で、カーボンナノチューブ(CNT)の研究を行うセンターとしては、ナノカーボン研究センター(2000年-2007年)、ナノチューブ応用研究センター(2007-2015年)に続いて三つ目です。先の二つのセンターは、CNTの発見者であり、文化勲章受章者の飯島澄男博士がセンター長を務めていました。時代を代表する偉大な科学者飯島博士の下に、若い研究者が集い、スーパーグロース合成法、e-DIPS合成法、単層CNT量産技術、グラフェン合成技術、CNT評価技術、CNT銅複合材料、高分解能の電子顕微鏡による研究などの世界を牽引する研究成果が次々と生み出され、産総研のナノカーボンの研究は世界中に知られる水準まで達しました。

一方でこの間に、CNTとナノテクノロジーを巡る周囲の環境は激変しました。世の中に見える形で、成果を出すことが求められるようになりました。さらには、産総研も第四期をむかえ、民間への技術の橋渡し機関を目指す指針を明確に打ち出しています。そのような内外の動向を踏まえ、今回の三つ目のセンターでは、産総研が有するCNT技術のうち、より実用化に近い技術を集約して、新しいセンターで、最初から実用化を念頭にした技術開発を行うことになりました。その思いは、まさにユニットの名称、「ナノチューブ実用化研究センター」に体現されています。実に、産総研の歴史で、ユニットの名称に「実用化」という言葉が用いられたのは、はじめてです。本センターでは、我々がいままでに培ってきた技術を民間企業の方々の課題や悩みを解決すること、研究開発を支援することに捧げることで、日本のCNTの実用化研究を盛り上げ、日本発のCNT産業の創出を目指します。

私は、研究を通じて、この世の中の幸を少しでも増やすことに貢献したいと思っています。いままでの経験では、ほんのちょっと世の中の幸を増やすためにも、不断で継続的な並々ならぬ努力と絶対にあきらめない断固たる決意が必要であると強く感じています。このような理念でセンターの設計をしました。センター長の職務に尽くしていくつもりです。

さて、これからの時代においては、科学技術はますます社会への還元を求められるようになると感じております。本センターは、その時代の要望に真っ先に真剣に取り組むことになります。本センターの活動が日本発のCNT産業創出の一助となり、将来の科学技術開発のあり方の一つのモデルケースとなることを切に願っています。

ナノチューブ実用化研究センター 研究センター長

畠 賢治


畠 賢治

学位

平成3年3月31日 東京大学工学部物理工学科卒業
平成8年3月31日 東京大学工学系大学院物理工学科卒業(博士課程)

 

職歴

1995年4月1日 日本学術振興会 特別研究員
東京大学生産技術研究所岡野研究室
1996年4月1日 筑波大学先端学際領域研究センター物質工学系勤務
文部教官・助手
1998年4月1日 科学技術振興事業団勤務(CREST) ポストドクター
筑波大学物理工学系重川秀実研
2001年4月1日 ハーバード大学化学生物学科
Charles Lieber研究室 ポストドクター
2003年4月1日 産業技術総合研究所 ナノカーボン研究センター
ナノカーボンチーム ポストドクター
2003年7月1日 産業技術総合研究所 ナノカーボン研究センター
ナノカーボンチーム 主任研究員
2005年4月1日 産業技術総合研究所 ナノカーボン研究センター
ナノカーボンチーム チーム長
2008年4月1日 産業技術総合研究所 ナノチューブ応用研究センター
スーパーグロースCNTチーム チーム長
2010年10月1日 産業技術総合研究所 ナノチューブ応用研究センター 上席研究員
(兼務)スーパーグロースCNTチーム 研究チーム長
2012年4月1日 産業技術総合研究所 ナノチューブ応用研究センター 上席研究員
(兼務)スーパーグロースCNT用途開発チーム 研究チーム長
2013年4月1日 産業技術総合研究所 ナノチューブ応用研究センター 
首席研究員
2015年4月1日 産業技術総合研究所 ナノチューブ実用化研究センター 
研究センター長

 

受賞歴

2016年 平成28年度全国発明表彰21世紀発明奨励賞
2016年 平成28年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 開発部門
2016年 第45回日本産業技術大賞審査委員会特別賞
2010年 第6回日本学士院学術奨励賞
2010年 第6回日本学術振興会賞
2008年 第18回つくば奨励賞(若手研究者部門)
2007年 平成19年度文部科学大臣表彰若手科学者賞
2007年 平成18年度産業技術総合研究所理事長賞
2005年 nano tech大賞2005  材料・素材部門
2000年 日本MRS奨励賞
2000年 応用物理学会講演奨励賞
1999年 日本表面科学会論文賞(共著)