実証プラント

スーパーグロースCNTの実用化へ向けて、平成21年度の経済産業省の補正事業により、当チームは日本ゼオン株式会社の協力を得て、スーパーグロース法による高純度単層カーボンナノチューブの大量生産設備(実証プラント)を開発しました。

従来の実験室レベルの合成装置はバッチ式のため、生産量は一日あたり1グラム程度にとどまっていましたが、実証プラントの核となる全長12メートルの大面積対応型連続CVD(化学気相成長)合成炉では、幅の広い金属基板を用いて連続合成を行うことができます。

2011年現在、世界で供給されている純度90%以上の単層CNTの価格は1グラム数万〜数10万円ですが、私たちは高純度の単層CNTを1グラム当たり1万円以下で安定して供給することを目指しています。

大面積対応型連続CVD合成炉
大面積対応型連続CVD合成炉

実証プラントでは金属薄基板上に触媒層をコーティングし、これを上記連続CVD合成炉に送り込むことで、単層カーボンナノチューブを連続的に成長させることができます。種々の合成条件を最適化することで、50cm × 50cmの金属基板全面に、スーパーグロースCNTフォレストを均一かつ緻密に成長させることができました。成長したカーボンナノチューブは、剥離装置により自動で根元から切断することで基板から分離・回収します。

一般に、CVD法で作製される材料の形状は、製造装置の規模や形状に依存するため、小規模の実験用設備と大規模な生産用設備で製造した試料の特性は必ずしも一致しません。しかし、当実証プラントで製造した単層カーボンナノチューブの品質は、これまで当チームが研究開発設備で製造してきたスーパーグロースCNTフォレストとほぼ同等です。

  • 外径2〜3nm
  • 長さ100ミクロン以上
  • 比表面積1000 m2/g以上
  • 単層カーボンナノチューブ99.5%

スーパーグロース法で合成される単層カーボンナノチューブは他の方法による試料と比べ、はるかに高純度なので、特に精製する必要がなく、そのまま多くのアプリケーションに提供することができます。

50cm四方スーパーグロースCNTフォレスト
50cm×50cmの金属基板上に成長したCNT試料

生産能力は飛躍的に向上し、1時間に100〜150グラム、1日あたり600グラム以上を達成、本格的な工業規模での生産に道を拓くことができました。

今後、つくばイノベーションアリーナ(TIA)のカーボンナノチューブ研究コアの活動の一環として技術研究組合 単層CNT融合新材料研究開発機構(TASC)との協力の下、単層カーボンナノチューブの基盤研究を加速し、大量の試料を必要とする用途研究開発を推進する計画です。2011年度から運用を開始する実証プラントによって、単層カーボンナノチューブの持つ優れた機能を最大限発揮した透明導電膜、太陽電池、薄膜トランジスタ、キャパシタ等への応用に弾みがつくことを願っています。