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カーボンナノチューブアクチュエータ
大気中・2.5ボルトで最高の応答性能(変位速度4mm/0.05sec)
アクチュエータとは、一般には入力されたエネルギーを伸縮や屈曲などの運動に変換するシリンダーなどの装置のことで、家電や航空機に広く利用されています。またロボットの関節の動きや人工筋肉の研究にも使われています。
今回(独)産総研健康工学研究部門人工細胞研究グループ(グループ長安積欣志)を中心として開発されたのは、小型の電場応答性高分子アクチュエータの一種です。スーパーグロースカーボンナノチューブとイオン性液体を材料とし、2.5ボルトの低電圧によって大気中で動作するシート状のアクチュエータを作成しました。
構造は下図のようになっています。 イオン性液体とスーパーグロースカーボンナノチューブを混合し、ゲル化させた後乾燥して作った二枚の電極の間に、電解質の層として同じくゲル化・乾燥の工程を経たイオン性液体のシートを挟み、加熱しながら圧力をかけて接着します。 両電極に電圧をかけるとイオンの移動によってアクチュエータが曲がります。
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| 図1:カーボンナノチューブアクチュエータ概念図 |
短いカーボンナノチューブを電極として利用したアクチュエータでは、強度を保つために高分子材料の保護材と混合するため、電気伝導が十分でなく、稼動範囲も小さくなります。
数100µm以上の長さを持つスーパーグロースCNTは電極シートの中でネットワーク構造をしており、ナノチューブ自身だけで十分な強度があるため保護剤を使う必要がなく、電気伝導度と機械的強度を大きく改善することができました。その結果、これまでになかった大きな変位と、素早い応答性を同時に達成するアクチュエータを初めて実現できたのです。
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| 図2:アクチュエータの動作する様子。±3Vの電圧で1秒以内に90度曲がる。 |
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| 図3:±2.5V、10Hzの電圧に対する応答。 |
長さ15mm、幅1mmのアクチュエータの一方を固定し、±2.5Vの振動する電圧をかけ、固定端から10mmの点の変位を観察したところ、振動数1Hzのときには、変位の大きさは5mm、さらに振動数を10Hzにしても変位4mmを達成しました。このときの変位速度は4mm/0.05secで、応力速度で3.26MPa/s、ひずみ速度2.28%/sにあたります。
空気中で動作する低電圧アクチュエータとしては、最高の応答性能です。
また、±1.0V, 1Hzでの動作試験では10000回以上の耐久性を示しています。
このカーボンナノチューブアクチュエータはシートを接着した単純な構造で、大量生産を容易に展開できる可能性も秘めています。
参考:Mukai et al., "Highly Conductive Sheets from Millimeter-Long Single-Walled Carbon Nanotubes and Ionic Liquids: Application to Fast-Moving, Low-Voltage Electromechanical Actuators Operable in Air", Advanced Materials, 2009, 21, 1582-1585



